置き換えによる展開
♪♥ この教材は,高校数学の基本問題のうち,置き換えによる展開のバックアップファイルです.
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== 置き換えによる展開 ==

○ 置き換えによる展開とは

 同じ式が2回以上登場するとき,これらに名前を付けて1文字で表わすと,「見やすく」「間違いにくく」なる.ここでは2回以上登場する式を1文字で置き換えて展開の計算を行うことを考える.
例1
(a+b+c)2 のように3つ以上からなる項の2乗は,教科書の基本公式にないからと言って,(a+b+c)(a+b+c) に直して「総当たり」で展開していると大変
 これを a+b=A と置き換えると,(A+c)2 になり展開公式が使えて,
(a+b+c)2
_____=(A+c)2
_____=A2+2Ac+c2

元に戻すと
_____=(a+b)2+2(a+b)c+c2
_____=a2+2ab+b2+2ac+2bc+c2
形を整えると
_____=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca

※ 置き換えに用いた文字 A は自分が付けた名前なので(他の人は別の名前をつけてもよいので),
(a+b+c)2=A2+2Ac+c2
にしてはいけない.


 
※ 慣れてくると,置き換える文字の代わりに ( )を使って次のように変形することもできるが,「どれがよい」ということはない.「自分に分かりやすい=間違いにくい」と思う方法でやればよい.
(a+b+c)2
_____=(a+b)2+2(a+b)c+c2
_____=a2+2ab+b2+2ac+2bc+c2

_____=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca
※ 計算が多いので,1題解くだけなら「力まかせ・総当たり・単純計算主義」でバラバラにした方が速いと考える人がいるかもしれない.しかし,何題も解くときは,やはり置き換え方式が有利.さらに,バラバラにする方式では,展開の逆=因数分解(右辺を左辺に戻す)のときに見通しが立たなくなる. 「総当たりで」展開してもできないことはないが
次のような問題が幾つも登場すると困ってしまう・・・
(a−b+c)2 , (a−b−c)2 , (x2+x+2)2 , (x2−2x+5)2 ···


 実は,次の展開はかなりよく登場するので「準公式」として覚えてしまうことが多い.
【準公式】  (a+b+c)2=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca

 この立場に立つと,以下の問題は直ちに解決する.

(a−b+c)2=a2+(−b)2+c2+2·a·(−b)+2·(−b)·c+2ca
_________=a2+b2+c2−2ab−2bc+2ca

(a+b−c)2
上の変形を見ていると知恵がついてきて,直ちに分かるようになる(符号と係数を変えるだけ)
________=a2+b2+c2+2ab−2bc−2ca
(a−b−c)2=a2+b2+c2−2ab+2bc−2ca
【要約】
(a+b+c)2=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca
(a−b+c)2=a2+b2+c2−2ab−2bc+2ca (←bが-)
(a+b−c)2=a2+b2+c2+2ab−2bc−2ca (←cが-)
(a−b−c)2=a2+b2+c2−2ab+2bc−2ca (←b, cが-)
 (−a+b+c)2(a−b−c)2と同じ
 (−a−b+c)2(a+b−c)2と同じ
 (−a−b−c)2(a+b+c)2と同じ
a2+b2+c2−2ab−2bc−2caとなるものはない!
(そのわけ)
−2aba, bは異符号
−2bcb, cは異符号
を前提とすれば,a, cは同符号になる
 結果のまとめ方:上の例のように
abc (a)
のサイクルにして書くことが多い.それ以外はダメだいうことではないが,一定の規則で並べると「書く人も・読む人も」「見やすく・間違いにくい」.
 しりとりで一周させて
♪~「」→「」→「」→「
の順に並べるということ.

例2
 (x+1)(x+2)(x+3)(x+4) のように一見同じものがないように見える式でもxA に置き換えても無駄 ) 工夫次第で同じ式が作れることがある.
 (x+1)(x+4)(x+2)(x+3) のように組み合わせると,
 (x2+5x+4)(x2+5x+6) になるので,x2+5x=A とおけば簡単に展開できる.
(2次と1次)の組を考える例
  (x+1)(x+3)(x−5)(x−7)x2−4x=A とおくと
(A−5)(A−21) になり A2−26A+105

(2次と定数項)の組を考える例
  (x+1)(x+2)(x+3)(x+6)x2+6=A とおくと
(A+7x)(A+5x) になり A2+12xA+35x2


■問題 次の式を展開せよ.
== 半角数字(1バイト文字)で解答すること ==
・・・  浴びるほどやって得意ワザに入れる感じで

(1)  (a−2b+3c)2
=a2+b2+c2ab−bc+ca


(2)  (x+y+1)(x+y−2)
=x2+y2+xy−x−y−


(3)  (a−2b+3c)(a+2b+3c)
=a2b2+c2+ac


(4)  (x2+xy+y2)(x2−xy+y2)=x+xy+y


(5)  (x−1)(x+1)(x+3)(x+5)
=x4+x3+x2x−


(6)  (x3−x2+x−1)(x3+x2−x+1)
=x6−x4+x3x2+x−



■追加問題■・・・次の各式を展開してください・・・各自で計算用紙を使って答えを出し,次の[解説を見る]をクリックして,解説・解答を確かめてください.
【問題2.1】
 (2x+3y−4z)2
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【問題2.2】
 (−a+b−c)2
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【問題2.3】
 (2x−3y−z)2
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【問題2.4】
 (x2−2x+3)2
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【問題2.5】
 (x+y+2)(x+y−3)
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【問題2.6】
 (x2−3x+2)(x2−3x−1)
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【問題2.7】
 (x2−3x+2)(x2+x+2)
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【問題2.8】
 (a−2b+3c)(a+2b−3c)
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【問題2.9】・・・やや難
 (a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)(a−b−c)
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【問題2.10】・・・やさしい
 (a+b+c)2+(a−b+c)2+(a+b−c)2+(a−b−c)2
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【問題2.11】
 (x+y+z+w)(−x+y+z−w)+(x−y+z−w)(x+y−z−w)
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【問題2.12】
 (a+b+c)(a−b−c)+(a−b+c)(a+b−c)
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