♪♥ この教材は,高校数学の基本問題のうち,因数分解(応用問題)のバックアップファイルです. ♫♣ 元の教材が機器や通信トラブルで読めないときに,こちらを使ってください.なお,学習の記録は付いていません. • 指数法則 • 展開公式Ⅰ • 展開公式2 • 置き換えによる展開 • 展開の順序 • 展開公式の応用問題 • 2次式の因数分解 • 次数最低の文字で整理 • たすき掛け因数分解 • いろいろな因数分解 • 3次以上の因数分解 • 因数分解(応用問題) • 因数分解の入試問題
この頁では因数分解の応用問題として次の4つの項目の解説があります.それぞれのタイトルをクリックするとその項目にジャンプできます.
「次数が低い文字について整理する」とは,次数の低い1つの文字(次数が最低の文字)に着目して,その文字だけを文字とみなし他の文字を係数(定数)とみなすということです.
誰がやっても
「1次式の因数分解は2次式の因数分解よりも簡単」 「2次式の因数分解は3次式の因数分解よりも簡単」「・・・」 というように,次数が低い因数分解の方が有利になるのです.
1次式の因数分解なんかあるのか?と思われるかもしれませんが,厳密な言い方は別として,1次式については次の「共通因数でくくる」という変形があります.
ax+bx=(a+b)x 1次式の因数分解はこれだけなので,ある文字について整理すると1次式になったら「しめた!共通因数の話だ!」と考えればよいことになります.
【例1.1】 次の式を因数分解してください.
(解説)ax+bx+a2−b2 aの式だとみなすとax+bx+a2−b2となって最高次の項は2次になります. bの式だとみなすとax+bx+a2−b2となって最高次の項は2次になります. xの式だとみなすとax+bx+a2−b2となって最高次の項は1次になります. そこで,次数が最低になる文字xについて整理すると有利だということになります.xだけを文字と考え,他の文字は係数とみなすと (ax+bx)+(a2−b2)・・・左のかっこは1次,右のかっこは定数 1次式の因数分解は,共通因数でくくる変形があるだけですから,共通因数を考えます. (a+b)x+(a+b)(a−b) =(a+b)(x+a−b)…(答)
この問題をaについて整理しても間違いではありませんが,2次式の因数分解になるので次のようにやや複雑になります.
ax+bx+a2−b2 =a2+xa−b2+bx この2次式を因数分解するには,積が−b2+bxになるものうちで,和がxになるもの○と□を探して (a+○)(a+□) の形にします. ところで,積が−b2+bxになるものは何かというと,それは全体の大きな因数分解をしている中で,定数項−b2+bxを2つの式の積に分けるということで,それは−b2+bxをあらかじめ因数分解しておくということです. −b2+bx=b(x−b) ここで,b+(x−b)=xとなって和がxになっています. 結局 a2+xa−b2+bx =a2+xa+b(x−b) =(a+b)(a+x−b)…(答) |
【問題1】 次の各式を因数分解したとき空欄に入る式を下の選択肢から選んでください.(正しいものをクリック) (※暗算ではできません.各自計算用紙で計算してから選択肢を選んでください) x x+2 x−2 y y+2 y−2
文字xについては2次式,文字yについては1次式になるので,yについて整理すると計算が楽になります.
a+b+1
a+b−1
a−b+1
a−b−1
(左辺)=(2x−4)y+(x2−3x+2) =2(x−2)y+(x−1)(x−2) 共通因数x−2でくくると =(x−2)(2y+x−1)
文字a, bについては2次式,文字cについては1次式になるので,cについて整理すると計算が楽になります.
ax+b
ax−b
bx+a
bx−a
(左辺)=(a+b−1)c+(a2−2b2−ab−a+2b) 共通因数を探すためには定数項a2−2b2−ab−a+2bをあらかじめ因数分解しておく必要がありますが,この式はaについてもbについても2次式なので,どちらで整理しても難しさは同じです.(aについて整理する) a2+(−b−1)a−(2b2−2b) =a2+(−b−1)a−2b(b−1) 積が−2b(b−1)になるものは,−2b, b−1の組と2b, −b+1の組があるが,そのうちで和が−b−1になるのは−2b, b−1の組 a2+(−b−1)a−(2b2−2b)=(a−2b)(a+b−1) (原式)=(a+b−1)c+(a−2b)(a+b−1) 共通因数a+b−1でくくると =(a+b−1)(c+a−2b)
文字a, b, xのどの文字について整理しても2次式なるので,このままxについて整理する.
a+b+c
a+b−c
a−b+c
a−b−c
(左辺)=(ab)x2+(−a2−b2)x+ab x2の係数abを2つの式の積に分けるには,aとbの組,abと1の組がある.
符号を全部入れ換えたものは別の因数分解にはならない.例えば(2x+3)(x−4)と(−2x−3)(−x+4)は同じものだから,x2の係数を両方とも負にしたものは考える必要はない.(定数も変わるだけ)
定数項もabを2つの式の積に分けるには,aとbの組,abと1の組がある.また,順序を入れ換えたものは別の因数分解にならない.例えば(2x+3)(x−4)と(x−4)(2x+3)は同じものだから,2, 1組を考えたら1, 2組を考える必要はない. このようにして積がabとなる2つの数はa,bの組,ab,1の組だけを調べたらよい. これらの組合せをたすき掛け因数分解で考えると,右図の組でxの1次の係数が一致する. この図は(ax−b)(bx−a)の省略であるから (ax−b)(bx−a)…(答)
※左辺を見て「きれいな掛け算の形をしているから」もうすでに因数分解できているのではないかと考えている人は理解不十分です.因数分解は「一番大きな区切りが積の形になっていなければならない」のに対して,この問題の左辺は (a−b)(c−b)(c+a)−abc という形で「一番大きな区切りが引き算」になっているので,まだ因数分解はできていません. ではどうやって因数分解するのかというと,まず展開して式の整理から始めるしかないのです. 文字a, b, cのどの文字について整理しても2次式になるので,aについて展開して整理する. (a−b)(c−b)(c+a)−abc=(c−b)(a−b)(a+c)−bca =(c−b)(a2+(c−b)a−bc)−bca =(c−b)a2+(c−b)2a−bc(c−b)−bca =(c−b)a2+{(c−b)2−bc}a−bc(c−b) a2の係数c−bを2つの式の積に分けるには,c−bと1の組だけです.また,定数項−bc(c−b)を2つの式の積に分けるには,−bc ,c−b組,bc ,−(c−b)組などがある. これらの組合せの内で,aの1次の係数が(c−b)2−bcになるものをたすき掛け因数分解で考えると,右図のようになる. この図は((c−b)a−bc)(a+(c−b))の省略であるから (ca−ab−bc)(a−b+c)…(答) |
(x2−5x)(x2−5x+10)+24のように同じ式x2−5xが2回以上登場するときは,この式を1文字に置き換えることによって「見やすく」「間違いにくく」なります.
【例2.1】 次の式を因数分解してください.
(解説)(x2−5x)(x2−5x+10)+24 x2−5x=Aとおく (原式)=A(A+10)+24=A2+10A+24 =(A+4)(A+6) 置き換えたのは解答者の都合で,他の人は別の文字かもしれないから,元の文字に戻して答える =(x2−5x+4)(x2−5x+6) かっこの中がさらに因数分解できる =(x−1)(x−4)(x−2)(x−3)…(答)
上の【例2.1】のように初めから同じ式が含まれる場合だけでなく,次の例のように「うまく展開すれば同じ式が作れる」場合もあります.
(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)をそのままの順で1番目と2番目,3番目と4番目のかっこを展開すると (x2+3x+2)(x2+7x+12) となって,同じ式は登場しませんが,組合せを変えて次のように展開すると同じ式が登場します. (x+1)(x+4)(x+2)(x+3) =(x2+5x+4)(x2+5x+6)
【例2.2】 次の式を因数分解してください.
(解説)(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)−24 (原式)=(x+1)(x+4)(x+2)(x+3)−24 =(x2+5x+4)(x2+5x+6)−24 x2+5x=Aとおく (原式)=(A+4)(A+6)−24 =A2+10A+24−24=A2+10A=A(A+10) 元の文字に戻すと =(x2+5x)(x2+5x+10) =x(x+5)(x2+5x+10)…(答)
※x2+5x+10は虚数の係数を使わなければ因数分解できない.通常,特に指定がなければ,上の答案のように整数,分数の係数の範囲まで因数分解すればよい.
上の【例2.2】のように2次と1次の組x2+○xまでが2回登場する場合だけでなく,次の例のように「定数項との組が同じになる」場合もあります.
(x+1)(x+2)(x+3)(x+6)をそのままの順で1番目と2番目,3番目と4番目のかっこを展開すると (x2+3x+2)(x2+9x+18) となって,同じ式は登場しませんが,組合せを変えて次のように展開すると同じ式が登場します. (x+1)(x+6)(x+2)(x+3) =(x2+7x+6)(x2+5x+6) =(x2+6+7x)(x2+6+5x) ※とにかく同じ式を作ると因数分解が有利になる …「どうしても同じ式を作りたい」と考えます →右上に続く
|
【例2.3】 次の式を因数分解してください.
(解説)(x+1)(x+2)(x+3)(x+6)−3x2 (原式)=(x+1)(x+6)(x+2)(x+3)−3x2 =(x2+7x+6)(x2+5x+6)−3x2 x2+6=Aとおく (原式)=(A+7x)(A+5x)−3x2 =A2+12xA+35x2−3x2 =A2+12xA+32x2 =(A+4x)(A+8x) 元の文字に戻すと =(x2+6+4x)(x2+6+8x) =(x2+4x+6)(x2+8x+6)…(答) 【問題2】 次の各式を因数分解したとき空欄に入る式を下の選択肢から選んでください.(正しいものをクリック) (※暗算ではできません.各自計算用紙で計算してから選択肢を選んでください) x x+1 x−1 x+3 x−3
x2+3x=Aとおく
1
2
3
4
5
6
(原式)=A(A−2)−8=A2−2A−8 =(A+2)(A−4) 元の文字に戻すと =(x2+3x+2)(x2+3x−4) =(x+1)(x+2)(x+4)(x−1)…(答)
次のように組み合わせて展開する
x
2x
3x
4x
5x
6x
(x−2)(x+4)·(x−3)(x+5)−44 =(x2+2x−8)(x2+2x−15)−44 x2+2x=Aとおく (原式)=(A−8)(A−15)−44=A2−23A+76 =(A−4)(A−19) 元の文字に戻すと =(x2+2x−4)(x2+2x−19)…(答)
次のように組み合わせて展開する
(x−2)(x+6)·(x−3)(x+4)+2x2 =(x2+4x−12)(x2+x−12)+2x2 x2−12=Aとおく (原式)=(A+4x)(A+x)+2x2=A2+5xA+6x2 =(A+2x)(A+3x) 元の文字に戻すと =(x2+2x−12)(x2+3x−12)…(答) |
数学Ⅱで習う因数定理よりも前の段階(数学Ⅰ)に登場する3次の因数分解公式には,次のものがあります.
x3+y3=(x+y)(x2−xy+y2) x3−y3=(x−y)(x2+xy+y2) x3+y3+z3−3xyz=(x+y+z)(x2+y2+z2−xy−yz−zx)
【例3.1】 次の式を因数分解してください.
(解説)(x+2)3+(x−3)3−(2x−1)3 初めの2項だけを組み合わせると2x−1という因数ができます (x+2)3+(x−3)3 ={(x+2)+(x−3)}{(x+2)2−(x+2)(x−3)+(x−3)2} =(2x−1){x2+4x+4−(x2−x−6)+(x2−6x+9)} =(2x−1)(x2−x+19) 次に全体を見ると2x−1が共通因数になっています (原式)=(2x−1)(x2−x+19)−(2x−1)3 =(2x−1){(x2−x+19)−(2x−1)2} =(2x−1)(x2−x+19−(4x2−4x+1)} =(2x−1)(−3x2+3x+18) =−3(2x−1)(x2−x−6) =−3(2x−1)(x−3)(x+2)
【例3.2】 次の式を因数分解してください.
(解説)(x−y)3+(y−z)3−3(x−y)(y−z)(z−x) 最初の2項を組み合わせてx−zという因数を作り,第3項と共通因数x−zでくくり出てもできますが,やや長い答案になります. これに対して,次のように問題の式に(z−x)3を足しておくと右辺が0になりますので,移項すれば出来上がります. (x−y)3+(y−z)3+(z−x)3−3(x−y)(y−z)(z−x) =(x−y+y−z+z−x)(…)=0 を利用すると (原式)=−(z−x)3=(x−z)3…(答) |
【問題3】 次の各式を因数分解したとき空欄に入る式を下の選択肢から選んでください.(正しいものをクリック) (※暗算ではできません.各自計算用紙で計算してから選択肢を選んでください) −3 −2 −1 1 2 3
aの式として展開整理すると
−3
−2
−1
1
2
3
(原式)=(a+(b+c))3−a3−b3−c3 =a3+3a2(b+c)+3a(b+c)2+(b+c)3−a3−b3−c3 =3a2(b+c)+3a(b+c)2+(b+c)3−b3−c3 =3a2(b+c)+3a(b+c)2+3b2c+3bc2 =3{a2(b+c)+a(b+c)2+bc(b+c)} =3(b+c){a2+a(b+c)+bc} =3(b+c)(a+b)(a+c)
(b−c)3+(c−a)3+(a−b)3−3(b−c)(c−a)(a−b)
3
6
12
24
36
60
=(b−c+c−a+a−b)(···)=0 (···)の部分を計算しなくても,(b−c+c−a+a−b)=0
だから(原式)=3(b−c)(c−a)(a−b)
y+z−x=a, x+y−z=b, z+x−y=cとおくとa+b+c=x+y+zになるから,(1)の結果が使える
(原式)=3(b+c)(a+b)(a+c)=3(2x)(2y)(2z)=24xyz |
x4+x2+1のような式は複2次式と呼ばれ,x2=XとおくとX2+X+1という2次式になりますが,そこから先に進めない場合があります.
このような場合に,○2−□2の変形を利用すると因数分解できることがあります.
【例4.1】 次の式を因数分解してください.
(解説)x4+x2+1 x2=XとおいてもX2+X+1となって(有理数の範囲では)因数分解できませんが,この式を (x2+1)2−x2=(x2+x+1)(x2−x+1) と変形すれば2次式に因数分解できたことになります.
【要点】
【問題4】 次の各式を因数分解したとき空欄に入る式を下の選択肢から選んでください.(正しいものをクリック)○2−□2の形に持ち込む (※暗算ではできません.各自計算用紙で計算してから選択肢を選んでください) 1 2 3 4 5 6 →右上に続く
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x+y+1
−x−y−1
x+y+2
−x−y−2
(原式)=(x2−y2−4)2+8(x2−y2)−8(x2+y2)
x+y+z
−x−y−z
x+y+2z
−x−y−2z
この式を適当に展開すると,(x2−y2)2−8(x2−y2)+16+8(x2−y2)−8(x2+y2)
=(x2−y2−4)2−16y2=(x2−y2)2−8(x2+y2)+16 となって,原式に等しいことが分かります. =(x2−y2−4−4y)(x2−y2−4+4y) ={x2−(y+2)2}{x2−(y−2)2} =(x+y+2)(x−y−2)(x+y−2)(x−y+2)
(x2+y2−z2)2=x4+y4+z4+2x2y2−2y2z2−2z2x2
だから (原式)=(x2+y2−z2)2−4x2y2 =(x2+y2+2xy−z2)(x2+y2−2xy−z2) ={(x+y)2−z2}{(x−y)2−z2} =(x+y+z)(x+y−z)(x−y+z)(x−y−z) |
【類題と答】 次の各式を因数分解してください.
(1.1)
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(1.2)
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(解答)
※初歩的なことであるが,この問題の式自体は因数分解できていないことに注意.(因数分解できていたら問題にならない)
どの文字についても2次式だから,どの文字について整理しても条件は同じ.とりあえずについて整理する.因数分解と言えるためには,最も大きな区切りが積の形になっていなければならないが,この問題文では引き算になっているので,展開してから改めて因数分解する必要がある. …(答) …(この形の方がよい) |
(1.3)
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(解答)
どの文字についても3次式だから,どの文字について整理しても条件は同じ.とりあえずについて整理する.(もちろんについて整理しても,最終的には同じ結果になる) 内では,は3次,は2次だから,とりあえずについて整理する. 内では,は2次,は1次だから,について整理する. (原式)…(答)
(1.4)
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(2.1)
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(2.2)
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(2.3)
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(解答)
同じものがあればとおいて置き換えると簡単になる.同じものがないときは「作る」
同じものが登場するように,組合せを替える とおく 元のに戻す …(答) ※特に断り書きがない問題では「有理数までの範囲の係数を使って」因数分解する.上記の答えを1次式まで因数分解すると,無理数や虚数の係数が必要になるから,これ以上は進まなくてもよい. …(不要)
(2.4)
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(3.1)
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(3.2)
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(3.3)
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(3.4)
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(4.1)
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(解答)
とが考えられるが
は無理数の係数になるから,採用できない …(答)
特に断り書きがない限り,因数分解は有理数の範囲で(整数と分数までを使って)行うが,をこれ以上因数分解するととなるから,その前で止める.
をこれ以上因数分解するととなるから,その前で止める.
(4.2)
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(4.3)
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(4.4)
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