♪♥ この教材は,高校数学の基本問題のうち,因数分解の入試問題のバックアップファイルです. ♫♣ 元の教材が機器や通信トラブルで読めないときに,こちらを使ってください.なお,学習の記録は付いていません. • 指数法則 • 展開公式Ⅰ • 展開公式2 • 置き換えによる展開 • 展開の順序 • 展開公式の応用問題 • 2次式の因数分解 • 次数最低の文字で整理 • たすき掛け因数分解 • いろいろな因数分解 • 3次以上の因数分解 • 因数分解(応用問題) • 因数分解の入試問題
引用元の問題は記述式の問題ですが,以下の問題ではWeb画面上での操作性をよくするため,選択問題に変えています.
【問題1】 (1つの文字について整理する)まぐれ当たりでは力が付きませんので,計算用紙を使って,よく考えてから選択肢の内の1つをクリックしてください.解答すれば解説が出ます. なお,答案はこの教材の筆者が作成したものです.間違い等がありましたらお知らせください.
(1)
x2+3xy+2y2+4x+7y+3を因数分解しなさい. (専修大2011年度)
▼ (x+y)(x+2y)+4x+7y+3
のように式全体の「一部分だけを小出しにして」因数分解できる問題は多くないことに注意
◎ x2+(3y+4)x+(2y2+7y+3)
のように,式全体を1つの文字xについて整理するのが基本です.(「xについて整理する」とはxだけを文字と見なし,他の文字yは係数と見なすということです)
この問題では,yについて整理(「yについて整理する」とはyだけを文字と見なし,他の文字xは係数と見なすということです)しても2次なので,どちらで整理してもできますが,yについて整理すると,次のように2乗の係数が1ではないものになるのでたすき掛け因数分解を考えなければならない分だけ不利になります.
○ 2y2+(3x+7)y+(x2+4x+3)
以上のような判断で◎から因数分解を行う.
x2+(3y+4)x+(2y2+7y+3)を因数分解するには,積が2y2+7y+3になり,和が3y+4になる2つの式○と□を見つけて,(x+○)(x+□)とすればよい.
積が2y2+7y+3になる式を見つけるには,2y2+7y+3を因数分解すればよい.
2y2+7y+3=(y+3)(2y+1)で(y+3)+(2y+1)=3y+4だから,積が2y2+7y+3和が3y+4となる2つの式はこの話でこんがらかってはいけない.ジャイアン:xがいる場所ではのび太:yは定数のふりをしなければならないが,ジャイアンがいない場所ではのび太:yが天下をとったらよい. 全体:x2+(3y+4)x+(2y2+7y+3)の大きな因数分解を行うために,その一部分となっている定数項:2y2+7y+3を積に分けるには因数分解を行うということになります. y+3と2y+1 したがって x2+(3y+4)x+(2y2+7y+3)=(x+y+3)(x+2y+1) |
(2)
2x2+6xy−3x+3y−2を因数分解するとオである. (東海大2016年度)
2文字以上が含まれる式の因数分解では,式全体を1つの文字について整理するのが基本です.
この問題ではxについて整理すると2次式になり, 2x2+(6y−3)x+3y−2 yについて整理すると1次式になるので, (6x+3)y+(2x2−3x−2) 次数が低くなる方のyで整理する方が有利です.
2文字以上が含まれる式の因数分解は
※なお,1次式の因数分解なんか聞いたことがないと思うかもしれませんが,「共通因数でくくること」も広く因数分解に含めると,共通因数でくくることがそれにあたります.
「次数が最低になる文字について整理する」
my+ny=(m+n)y
このように,1次式の因数分解はとても簡単なので,使えるときは使うようにします.(6x+3)y+(2x2−3x−2) =3(2x+1)y+(2x+1)(x−2) 共通因数2x+1でくくると (2x+1)(3y+x−2)…(答) |
(3)
(x2−1)(y2−1)−4xyを因数分解せよ. (尾道大2005年度)
|
(4)
ab(a+b)−2bc(b−c)+ca(2c−a)−3abcを因数分解せよ. (愛知工大2014年度)
この問題ではa,b,cのどの文字について整理しても2次式になる.ここではaについて整理してみる.
ab(a+b)−2bc(b−c)+ca =a2b+ab2−2b2c+2bc2+2ac2−a2c−3abc =(b−c)a2+(b2+2c2−3bc)a+2bc(c−b) =(b−c)a2+(b−c)(b−2c)a+2bc(c−b) =(b−c){a2+(b−2c)a−2bc} =(b−c)(a−2c)(a+b) |
【問題2】 (成功体験を思い出す)
(1)
多項式a4+b4+c4−2a2b2−2a2c2−2b2c2を因数分解すると2となる. (横浜市大2011年度)
結果は1つでも,様々な途中経過があり,それぞれ正しいことがあります.この問題では,次の3つの方法で解いてみます.
[1] 2文字以上が含まれる式の因数分解は,1文字について整理するのが王道です.
[1] 1文字について整理する.[2] 複2次式の因数分解では ○2−□2 に持ち込むとうまくいくことが多い. [3] 解の公式を使って因数分解する方法があります. たとえばaについて整理するとはaだけを文字と見なし,他の文字b, cは係数,数字と見なすということです. 原式をaについて整理すると a4−2(b2+c2)a2+(b4+c4−2b2c2) 複2次式になっているので,a2=Aとおくと,Aの2次式の因数分解の問題になります. A2−2(b2+c2)A+(b4+c4−2b2c2) そこで,積がb4+c4−2b2c2になり,和が−2(b2+c2)になる2つの式を見つけたらよいことになります. b4+c4−2b2c2=(b2−c2)2=(b+c)2(b−c)2 和の符号をマイナスにしたいので,2つともマイナスの符号にすると −(b+c)2−(b−c)2 =−b2−2bc−c2−b2+2bc−c2=−2b2−2c2 結局 A2−2(b2+c2)A+(b4+c4−2b2c2) ={A−(b+c)2}{A−(b−c)2} a2に戻すと {a2−(b+c)2}{a2−(b−c)2} =(a+b+c)(a−b−c)(a+b−c)(a−b+c) [2] ○2−□2 に持ち込む. まず,次の公式を思い出すことから始めます. (a+b+c)2=a+b2+c2+2ab+2bc+2ca (a−b+c)2=a+b2+c2−2ab−2bc+2ca (a+b−c)2=a+b2+c2+2ab−2bc−2ca…(*) (a−b−c)2=a+b2+c2−2ab+2bc−2ca ところが (−a−b−c)2=(a+b+c)2=a+b2+c2+2ab+2bc+2ca だから,展開した結果が a+b2+c2−2ab−2bc−2ca となるものは,これらの中にないということが第1のポイントです. しかし,次の例のように(実係数の範囲で考えたとき)2次式では因数分解ができない場合でも,複2次式なら「○2−□2 に持ち込むと」因数分解できることがあります. a2+a+1は因数分解できないが a4+a2+1=(a2+1)2−a2=(a2+a+1)(a2−a+1)は因数分解できる このノリで(お笑い番組ではないので,数学の答案では「ノリ」とは言わないかもしれない.「この方法に味をしめて」でもまだまだコテコテの言い方になる.「この方法から類推して」とか「この方法の連想で」というのが上品な言い方なのかもしれない) a2+b2+c2−2ab−2ac−2bc では,因数分解ができないのに対して a4+b4+c4−2a2b2−2a2c2−2b2c2 では,できるようにしてみる.(つまり,無理やり○2−□2を作ればよい) a4+b4+c4−2a2b2−2a2c2−2b2c2 =(a4+b4+c4+2a2b2−2a2c2−2b2c2)−4a2b2 かっこの中は上の(*)の式に対応しているから =(a2+b2−c2)2−(2ab)2 =(a2+2ab+b2−c2)(a2−2ab+b2−c2) ={(a+b)2−c2}{(a−b)2−c2} =(a+b+c)(a+b−c)(a−b+c)(a−b−c) [3] 解の公式を使って因数分解する.
2次方程式ax2+bx+c=0 (a≠0)の解は
a4+b4+c4−2a2b2−2a2c2−2b2c2です. 2次方程式ax2+2b'x+c=0 (a≠0)の解は です. 2次方程式ax2+bx+c=0の解α, βが求まると,2次式ax2+bx+cは次のように因数分解できます. ax2+bx+c=a(x−α)(x−β) において,a2=xとおくと,xの2次式ができる. x2−2(b2+c2)x+b4+c4−2b2c2 そこで,次の2次方程式を解の公式を使って解く x2−2(b2+c2)x+b4+c4−2b2c2=0 (普通だったらとは言えないが,この問題では±の2つとも使っているから,単純にはずせる) 2つの解が,であるから,元の2次式は次のように因数分解できる. a2に戻すと |
【問題3】 (同じものがあれば1文字に置き換える)
(1)
(x2+4x)2+8x2+32x+15を因数分解せよ. (北海学園大2014年度)
同じ式が2回以上登場したら1つの文字に置き換えると,見やすく間違いにくくなります.
同じ式がないときでも,作れる場合があります. (x2+4x)2+8x2+32x+15=(x2+4x)2+8(x2+4x)+15 x2+4x=Aとおくと =A2+8A+15 =(A+3)(A+5) =(x2+4x+3)(x2+4x+5) =(x+1)(x+3)(x2+4x+5)
特に断り書きがない場合,「因数分解せよ」という問題では,係数として整数および分数を使って因数分解します(有理数の範囲で因数分解).
上の答案でx2+4x+5を因数分解すると虚数が登場しますので,この式は分けません. 他の問題でもx2−2のような場合,因数分解すると無理数が登場しますので,この式は分けません. |
(2)
(ab+1)(a+1)(b+1)+abを因数分解せよ. (福岡教育大2005年度)
同じ式が2回以上登場したら1つの文字に置き換えると,見やすく間違いにくくなります.
同じ式がないときでも,作れる場合があります. (ab+1)(a+1)(b+1)+ab =(ab+1)(ab+a+b+1)+ab
ab+1=Aとおくと
(原式)=A(A+a+b)+ab =A2+(a+b)A+ab =(A+a)(A+b) =(ab+1+a)(ab+1+b)
置き替えた後でも,まだa, bが残っているような中途半端なことでよいのか?
⇒ よいのです. |
【問題4】 (3乗の因数分解公式)
(1)
(b−a)3−(b−c)3−(c−a)3を因数分解すると3ウである. (東海大2005年度)
−(a−b)3−(b−c)3−(c−a)3
と変形すると見やすくなる. [1] 部分から全体を見る場合 3次の因数分解公式 x3+y3=(x+y)(x2−xy+y2)をx=a−b, y=b−cとして使うと,x+y=a−cになるから,(c−a)3と共通因数x+y=a−cができ,これでくくればよい.それから先はやってから考えたらよい. (a−b)3+(b−c)3 において,x=a−b, y=b−cとおくと x3+y3=(x+y)(x2−xy+y2) =(a−c){(a−b)2−(a−b)(b−c)+(b−c)2} 右の{ }内を根気よく整理すると =(a−c)(a2+3b2+c2−3ab−3bc+ac) したがって (a−b)3+(b−c)3+(c−a)3 =(a−c)(a2+3b2+c2−3ab−3bc+ac)+(c−a)3 =(a−c){a2+3b2+c2−3ab−3bc+ac)−(c−a)2} 右の{ }内を根気よく整理すると =3(a−c)(a−b)(c−b) (原式)=−3(a−c)(a−b)(c−b)=3(a−b)(c−b)(c−a) [2] 全体から部分を見る場合 x3+y3+z3−3xyz=(x+y+z)(x2+y2+z2−xy−yz−zx) という公式において x=a−b, y=b−c, z=c−aとおくと x+y+z=0になるから (a−b)3+(b−c)3+(c−a)3−3(a−b)(b−c)(c−a)=0 −(a−b)3−(b−c)3−(c−a)3=−3(a−b)(b−c)(c−a) =3(a−b)(c−b)(c−a)
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